戦後植林した人工林資源が成熟しつつあり、保育から、間伐をして木材を利用する施業へと移行する段階に入ってきました。また、世界的な資源需要の高まりが森林資源に波及してきており、外材価格が高騰してきました。このため、製材・合板業界では国産材利用を拡大する動きが本格化しており、林業への期待が一層高まってきています。
日本全国の人工林は約1,000万haあります。仮にこの70%を将来も生産対象として管理するとすれば、10年に一度のローテーションとして、毎年の間伐面積は約70万haになります。国は、年間の間伐実施面積の目標を55万haとしていますが、現状では民有林で約30万ha、国有林で約4万haに留まっています。目標達成のためには、小規模に分散した林地をとりまとめて路網を整備しつつ、林業機械を効率的に用いて森林整備を実施していくことが不可欠です。
このように、複数の森林所有者の隣接する林地をとりまとめ、知識と技術を活かして一体的に施業を行うことを「集約化施業」と言います。また、そのためには、森林所有者に分かりやすく森林施業の”提案“を行うことも必須ですので、合わせて「提案型集約化施業」と呼びます。
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森林所有者の所有面積の7割をカバーしている森林組合は、森林所有者の協同組合組織であり、森林所有者の森林を経理・経営することがミッション(使命)です。このような森林組合をはじめ、林業事業体が集約化に取り組み、施業コスト削減によって所有者に木材販売収益を還元することで、地域の森林整備・管理を実現することが期待されています。
提案型集約化施業においては、森林の将来像(目標林型)を見据えた上で、長期的な視点に立った施業を提案する必要があります。今の日本に求められる施業方法は、100年生程度まで間伐を繰り返す「長伐期多間伐施業」(以下、長伐期施業)です。長伐期施業のメリットは、間伐を繰り返すにつれて収穫時の単木材積が増加していくことから、生産性・伐採歩留まりが改善していくことです。更に、伐期を長くすれば、保育の回数を減らし、コストを低減させることが出来ます。このように、長伐期施業は林業経営のみならず、森林の多面的機能の観点からも優れた施業方法であり、これを100年単位の多面的な森林の将来像として思い描きながら、持続可能な森林経営を目指して、提案型集約化施業を進めていく必要があります。
■ 森林所有者にとって
持続可能な森林経営の前提となる長伐期施業を進めるためには、専門的知識と継続的な経営意欲が必要です。また、現在の材価で採算をあわせるためには、林業機械を駆使して間伐を効率的に行うこと以外にありませんが、1セット数千万円もする高額な林業機械を小規模森林所有者が個々で購入し、専門的な森林経営をすることは困難です。
そのような状況にして、所有者に代わって事業体が地域森林のグランドデザインを描き、事業量を確保した上で、路網を構築しつつ林業機械を駆使することにより、効率的な木材生産を行おうとするのが提案型集約化施業です。
さらに、提案型施業によっていったん森林整備が進めば、間伐2巡目以降はその道が使えることや、単木材積が増えていることから、
生産効率や収益性はさらに向上します。
結果として、継続的に所有者へ間伐で得られた
収益を還元する事ができ、一度に皆伐するとき
よりもトータルでより多くの収入をもたらし、
森林の多面的機能をより引き出すことが可能です。
■ 林業事業体にとって
仮に、1森林組合の平均所管森林面積である13,000haのうち7,000haが継続的に木材生産を行える人工林とし、間伐を10年間で一巡させると仮定します。すると、年間の間伐面積は700haになります。
そして、ha当たりの事業単価を50~120万円とすれば、年間総事業費は3.5~8.4億円になります。地域ごとの地形や自然条件等にもよりますが、あえて単純化すれば、これが平均的な森林組合としての、目標とする事業量の目安と言えます。そして、一度良い間伐をしておけば、次回は契約を取りやすくなり、森林の成長と概設路網の活用などによる生産性の大幅な向上も期待できます。
更に、提案型施業を進めていくことによって、施業内容や事業費などのデータが蓄積されるため、施業履歴のデータベースが整備され、施業技術体系の向上に大きな役割を果します。このように、提案型施業のノウハウを獲得することができれば、安定的な事業量の確保につながると同時に、安定的な木材の生産と供給が可能となるため、木材を有利に販売する交渉力を持つことになります。
提案型集約化施業は、森林資源の状況の変化に
伴って、減少しつつある森林造成事業に代わり、
これからのコアビジネスとして育てていくべき
事業なのです。

一作業箇所当たりの事業量が増加し、機械による効率的な作業が可能となります。

必要な作業路網の設置を効率的、効果的に行えること等により、木材の生産コストの削減とロットの確保が図られ、間伐材等の安定販売が可能となるなど、新たな事業機会の創出が可能となることにあります。
また、提案型集約化施業は、森林所有者から施業を依頼されるのを待つのではなく、森林組合等の林業事業体の方から、現状を示した写真などにより具体的に施業の必要性を喚起し、施業に必要な経費、木材を販売した場合の販売額、施業の方針などを示しながら、森林所有者の施業意欲を積極的に引き出そうとするものです。
つまりは、「採算に合わないため」又は「資金が無い為」という経済的な理由により、間伐が実施できない。あるいは実施する考えがないとしている森林所有者に対し、提案型施業を通じた集約化による効率的な施業を通じて収益を確保(負担を軽減)することが重要であり、このことによる素材生産事業の活性化が、将来に向けて森林組合等の安定的、自立的な経営を実現することにつながるのです。






